7月1日 金沢「氷室開き」
江戸時代の加賀藩前田家では、室(むろ)に保存されている雪氷を、幕府に献上することが習慣となっており、
毎年7月1日(旧暦6月1日)を「氷室開き」と定めていました。
切り出した氷を笹の葉や筵(むしろ)に包み桐の二重造りの長持ちに収め、八人の飛脚により昼夜をついで江戸
へ運んだそうです。
江戸の加賀藩邸では、送られてきた氷雪を保存する氷室があり、献上品として将軍家に氷を収める共に、藩に仕
える江戸詰めの家臣らも、暑い夏に貴重な氷雪を食べ、風流を楽しんだと伝えられています。
5代目藩主綱紀の頃、地元で菓子屋を営んでいた道願屋彦兵衛が、江戸へ向かう道中一行の無
事を祈り、饅頭を神社に供えたことが起源とされ、その後、貴重な氷を手に入れることができない町民の間で、
氷の代わりに饅頭を食べる習慣が広まり、金沢周辺地域の方々は毎年7月1日「氷室饅頭」を無病息災を願い食
べる風習があります。